自然配植とは


日本の伝統技術+生態学=自然配植緑化


 自然配植は、自然のもつ豊かで多様な力をうまく生かしながら緑を創造し保全する技術です。

 自然環境の危機が叫ばれるいま、わたしたちは、地球人としての視野をもち行動することが求められています。緑づくりにおいては、造園・造林・土木業界のもつ伝統の技術や生態学の知見が、 自然とのつきあい方とわたしたちのあり方に多くの知恵をもたらしてくれます。

 自然配植は、未来につながる緑化として、その技術や考え方、知識の整理・統合を進め、さらなる技術の発展に努めています。

◆自然配植の思想から技術へ◆
■自然配植緑化の「自然配植」とは、自然の「ありよう」に学ぶという意味です。自然配植とは、「いのち」としての植物の「立つ瀬」と、ともに生きようとする人間の「立つ瀬」を考える緑づくりの考え方と技術がベースとなっています。

◆苗木を中心に◆
■自然配植による緑化では、苗木を使い、美しさと育ちを考えながら、密に、あるいは疎に組み合わせて、緑はつくられます。

◆樹林化技術としての自然配植◆
■既往の樹林化工法では陥りがちな単純な同齢林とは異なる群落を志向しています。つまり、自然配植では、異齢林と呼ばれるさまざまなサイズの樹木が共存できる複相性、モザイク性の高い群落を美しく配置することが基本です。全面を一様にすばやく樹林化させるのではなく、百年後の森の姿をイメージし、実現することを大切にしています。

◆従来の造園工による緑づくりとの違いその1〜小さな苗木を大事にする理由◆
■小さな苗木を植えると、その点でコスト縮減が図れるほか、近年話題となっているCO2吸収源としての能力が高く、環境改善に貢献することができます。

◆従来の造園工による緑づくりとの違いその2〜造園から離れ、造園へ回帰する◆
■わが国の造園は、千年の伝統をもち、樹木の組み合わせ、石や垣の配置などの工夫を受け継ぎ、改良しながら、自然を凝縮すること、美しさを究めることにおいて、文化のレベルに達するといえるほどの思想と技術を培ってきました。
 日本的な美意識とは遠い、シンメトリカルな、あるいは遠近法的空間構成が根幹とされた、より西洋的な美意識に基づくデザインを広く日本の緑地づくりの標準とおくことは、わが国の風土をもう一度見直す中で、反省する時期にさしかかっているのではないでしょうか。
 自然配植緑化は伝統的なわが国の造園文化への回帰であるとも考えています。

◆自然配植の適用範囲◆
■個人庭園、公共施設緑化から、自然回復を目的とするような道路法面、山腹崩壊地、ビオトープ造成などの緑化に至るまで、幅広い対象に適用することが可能です。

◆自然配植の研究◆
■自然の仕組みの研究から生まれた自然配植の研究は、生態学的に自然を観察することから始まりました。地域の豊かな生態系を形づくる数多い植物や動物が共存できる構造とその群落変化の仕組み(動態)に関心が払われています。 さらに、景観的な観点からどう見せることが美しいのか、自然環境教育的な観点から、こども達などにとって学びの多い植物群落のあり方などについても研究が進められています。

◆すべての存在に意味を見出す◆
■伝統的な造園技術の中に、「役木」という考え方があります。 「役木」とは、すべての植栽される植物に、「主」、「副」、「添え」、「根締め」などのように、一定の景観的な役割を担わせることをいいます。目立たない木や草であっても、群落の中にあっては、何らかの役割をもっており、その役割を生かす植栽方法を工夫するのが基本です。

◆生命系、地域生態系としての緑地◆
■自然配植による緑地は、当初の形は植物の変化に応じてどんどんと姿を変えていく、 「生命系」としてとらえます。変化を予測する自然配植技術は、施工時に十年後、二十年後、百年後といった緑地の姿を具体的にイメージしながら設計をします。

◆人間中心の緑づくりであること◆
■防災なのか、遮蔽なのか、収穫なのか、休息なのか、こどもたちを育むためなのか。この目的の明確化があって、そこでの自然のもつポテンシャルや、そこを訪れる人々の立ち居振る舞いを具体的にイメージする中でこそ、緑化は生きてくると考えられます。

■ムダの少ない緑づくりを自然配植は、地域のために、みんなのためにという原点から出発しています。お金が無ければ無いなりの工夫をすべきです。自然配植は、本当の意味でのプロと、市民参加という形で現れるボランティアとの共同作業としての緑化も、視野に入れています。

◆達成感の高い緑づくりのために◆
■自然配植による緑化は、歴史に耐える緑化を行おうとしています。そのためには、現場をみる力、材料を判別する力、材料を用いてすぐれた環境を生み出していく能力など高い専門性と豊かな経験が必要であると同時に、勉強を持続していく姿勢が求められます。